捨てられていたお地蔵様
土居好江
三条大橋下の西側に捨てられたお地蔵様 |
三条大橋西側道路沿いのお地蔵様 |
捨てられたお地蔵様と背中合わせに お祀りされているお地蔵様 |
なすあり地蔵尊 |
堺町四条上がる |
京都市内にはお地蔵さんが至る処にあります。何尊あるか数えた人はいないようですが、なんと七千体以上あるそうです。烏丸四条界隈でも沢山のお地蔵さんの祠がありますが、毎日綺麗にお掃除されて、お花やお正月にはお酒もお供えされています。
そのお地蔵さんが三条大橋の下に捨てられて何十年にもなると言うことで、京都府土木事務所で、お地蔵さんの所有者に撤去を呼び掛けた張り紙が問題になり、ちょっとした騒ぎになりました。
幸いにも三条大橋の近くの瑞泉寺が引き取ることになり、一件落着しましたが、お地蔵さんのことを、「この物件は~」という張り紙の表現が非常識という声が上がったのです。
その捨てられたお地蔵さんとは対照的に、少し離れた三条大橋から下がった鴨川へ入る道路沿いに、2尊のお地蔵さんが祀られています。お花も供えられて、手入れが行き届いた祠です。
また、四条通りを少し上へ上がった堺町通の野村証券ビルにはビルに組込まれた祠があり、二体のお地蔵さんがご安置されています。
祇園・四条大和大路から北へ上がった処には、昭和29年、有済橋の近くで、水道管工事の折、白川の川底から出土したお地蔵さん大切に町内会の方々が守っておられます。約20年程前に、お世話をされているお米屋さんからお話をお聞きして感動しました。名前も由来もわからないけれど、数百年経っているお地蔵さんだったようです。
京都では、こういうようにお地蔵さんを大切にする気風があります。あるイギリス人は京都を訪問する度に、お地蔵さんを一体づつお土産に買うそうです。また、信楽の狸の陶器を百体、買って帰ったイギリス人もいるそうです。石や陶器に魂が宿るということが、海外の方にもわかるのでしょうか。
日本には言霊という言葉があるように、言葉にも魂が宿ると考え、石にもその魂が宿ると考える八百万の神という発想があります。火にも、水にも神様が宿っていると考えているのです。三条大橋に捨てられていたお地蔵さんの存在を、鴨川の歴史を思い浮かべて、手を合わせました。
以上