新年のご挨拶

IQからEQ、そしてSQの時代、京文化に触れる幸せ                                     土居好江 

もう25年前のことですが、1997年に「訪れるだけでEQが上がるまち・京都」という論文を書いたことを思い出しました。サブテーマは「田舎の3年より京の昼寝3日」です。この時期は21世紀を前にして、京都はどうあるべきかというコンセプトで論文を次々と書いたものです。

この時期、論文を書いては連続して賞を頂くことが多かったもので、この論文はアメリカ在住の大学で教鞭を取っておられた方に、ご指導頂きながら仕上げたものです。それまでは短時間で、書き上げては賞を頂いていたのに、この論文は時間をかけて、推敲に推敲を重ねた論文でしたが、賞を頂くことはできませんでした。

今、読み返してみると、アプローチはとても面白いのに、具体的な未来構想の落としどころの詰めが甘かったように感じます。

「田舎の学文より京の昼寝」という幕末の諺をご存知でしょうか。江戸時代後期に活躍した国学者・本居宣長が23歳から28歳まで『在京日記』で、京都遊学中のようすを綴っています。毎日のように神社仏閣を観光して酒びたりの日々を送っていたものの、本物の文化に触れて、学者として大成したと言われています。本物に触れたからこそ、目利きできる感性が得られたのでしょう。本物に触れると本物に近づきたいという本能が働くようです。

IQ(Intelligence Quotientは知能指数、EQ(Emotional Intelligence Quotient) は心の知能指数、SQ(Social Intelligence Quotient) 社会的指数、または生き方の知能指数、コミニュケーション能力、感性とも言えます。

京文化は引き算の文化で、エッセンスを絞り込んだ文化です。芸、も伝統文化、食文化、室礼、風趣等も長年のエッセンス昇華させて、今日の京文化、風習ができました。京都にお越しになった方々や京都在住の方々が、京文化に触れるだけでも、幸せを感じられるように、本年度は、京の智恵を絞り込んで発信して参りたいと存じます。

拙いブログをお読み下さり、心より感謝申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

以上

Pocket