微粒子物体の取り扱い(コロナウイルスサイズ)

クリーンルームの

グレーティング

無塵服・

ゴーグル

マスク

これらの写真は最近TVでよく見かけますが、これは半導体を製造するクリーンルームで使用する無塵服、マスク、ゴーグルです。これらの装備の目的は、作業者からのパーティクル(ゴミ)出さない為の作業者を隔離する無塵服・・等です。
TVでの防菌服は人体を守ることを目的にした装備服です。この装備の目的は異なりますが、微細なサイズの物体を封じる目的は同じです。100nm(ナノメートル:10-9メートル)クラスのサイズは以下の長さの単位表をご参考下さい。

長さの単位 メートル基準 該当物体の事例
ピコメートル pm 1×10-12 m
ナノメートル nm 1×10-9 m クラス1のCR, 100nmウイルス, 100~300 PM2.5
マイクロメートル μm 1×10-6 m 80μm髪の毛の太さ、 7~8μm赤血球、 4μm黄砂
20~40μmスギ花粉、 100μm花粉
ミリメートル mm 1×10-3 m
メートル m 1m

Covid19のサイズは100nmとアナウンスされています。半導体業界のクリーン度・クラス1に匹敵します。現在の開発部門では更に微細な40nm~5nmサイズの取組を行っています。半導体製造においては、パーティクルの封止が永遠のテーマです。
微細粒径のパーティクルは肉眼では見えませんが、空を真上に見上げた時の青さと比べ、地平線の遠くを見た時の青さは、フィルターを通したような色差が微粒物体によるものです。パーティクルは粒径が小さい程、付着力が強く、特殊な離脱処理手段でないと取り除くことはできません。空中に於いても自重で落下することはなく浮遊しています。
しかし、0.11m/s~0.16m/s以上のエアーフローがあると微粒子のコントロールが出来るようになります。クリーンルームでは0.16m/s以上、安全率を考慮して、装置内では0.21m/s以上のダウンフローでコントロールしています。半導体のパーティクル封じの技術から今回のCovid19対策を考えると、微粒物体のウイルスが浮遊する状態を作らない。浮遊しているところには近づかないことが基本です。その上で、実施要請されている人体の手、顔・・等の無防備の部位の洗浄することで身を守ることになります。ウイルスが付着している身の回りの物に触れると物理力によって手に移動付着します。
接触感染です。勿論、接触感染、飛沫感染によるウイルスの発生源から受けた場合、接触感染の場合は、接触した箇所を洗浄する。飛沫感染からは直接受ける場合は防ぎようがありません。完ぺきではありませんが、マスクとゴーグルが一つの手段です。
その後は加害者にならないよう行動が必要になります。飛沫感染でウイルスが浮遊している密閉空間、特にダウンフロー等のエアーの流れが無い空間には行かないことです。このような知見から科学的な判断ができます。しかし、これらの対処方法をして生活していくことの難しさを考えると、一刻も早い治療ワクチンの開発提供が必須です。
1. 微細物体が浮遊していないエリア、浮遊エリア
エアーの流れが無いエリアでは微細物体は浮遊しています。空気が流れている屋外・・等、自然の中では微細物体は何かに付着してしまっていると考えられます。付着後は物理力を受けなければ、再浮遊することは付着力の関係でありません。
人工物の建屋は、空調機‥等のリターン口が天井にあり、空気が循環している部屋が圧倒的に多いと思います。アップフローが生じない空調システムが必要だと考えます。冬季、電車の座席下部から空調エアーが流れています。暖房時にはアップフローによるウイルスを浮遊させる危険な状況になっています。
2. フィルターでのろ過
A) HEPAフィルターHigh Efficiency Particulate Air Filterは不十分
定格風量で粒径が300nmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率
B) ULPAフィルターUltra Low Penetration Air Filterで対応できます。
定格風量で粒径が150nmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率
**(初期圧力損失が245 Pa以下の性能を持つエアフィルタ)
3. クリーンルームのダウンフロー
A) パーティクルを発生させない半導体装置は、アッパーフローの発生しないダウンフローが維持出来ています。ウェーハ上のパーティクルは、アッパーフローによって発生します。つまり、装置の全エリアにアッパーフローを発生させないよう設計することが必要です。
B) ダウンフローの速度は以下に示します。

ダウンフロー流速 <0.11m/s 0.11~0.16m/s
パーティクルの動き 浮遊or アッパーフロー ユーティリティの安定性に起因
装置設計 再設計 不十分
0.16~0.21m/s 0.21~0.26m/s >0.3m/s
パーティクルは落下する パーティクルは落下する。 アッパーフローを生む
OK OK 再設計

以上

 

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