夏越の祓え 神社の6月の行事 茅の輪くぐり Ⅱ   ~御体御卜(ごたいのみうら)~

土居好江

     2023年6月20日撮影 繁昌神社 

    奈良時代に始まった占いに「御体御卜」(ごたいのみうら)というものがありました。6月と12月に天皇の身体に慎みがないかどうかを占う儀式です。占いのエキスパートで構成された8人の卜部(うらべ)と宮主(みやじ)は天皇、皇太子の専属の占い師です。亀甲のひび割れ方で、占うのです。宮中のトップシークレットです。

 甲羅を縦に持ち、火をまちかた(甲羅の真ん中の線)に当てて、水を差してひび割れをつくります。まちかたに沿ってひびわれると吉、枝のように広がると凶と占います。天皇の身体に障りがないように、平安に過ごす儀式でもありました。

 持統天皇の時代、天皇が神の祟りで崩御することが続いた7世紀後半、神祟りを防ぐ祭儀として行われていましたが、もともと、成立したの時期は653年の飛鳥時代で、『古語拾遺』(ここしゅうい)に記載されていますが、実態はよくわかっていません。

 6月1日~6月10日まで御体御卜を行い、11日に神今食(じんこんじき)と言って、陰暦6月と12月6月の11日、の夜に、天照大神を勧請して、火種を改め、新しく炊いたご飯を供えて、天皇みずからお供えする儀式も行いました。そして6月30日に祓えの儀式をしたのです。

 この神今食は新嘗祭と異なり、米は古米を使います。様々な占いの結果、祟りの方角等が示されて、火種も新しくしてご飯を炊いてお供えすることで、生命を更新してリフレッシュするという考えがありました。古代の日本では1年は6ヶ月でした。現在は12ケ月ありますが、実は6月も年末だったのです。それで、6月と12月は祓えの月なのです。火種を新しくするというのも、八坂神社のおけら参りにみられる年末年始におけら火を頂いて火種を新しくして煮炊きをする風習も日本的なものです。

 現在も続いている茅の輪くぐりも、一年の祓えと清めを行い、リセットする意味で同じ意味があり、ご紹介させて頂きました。

以上

 

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