京都の引力21 京都は老舗企業とベンチャーのまち
土居好江

京都の老舗
1 587年創業:池坊華道会・生花教授
2, 771年 源田紙業株式会社 水引元結
3, 806年株式会社傳來工房 鋳造
4, 885年創業:田中伊雅仏具店・仏具製造
5, 1000年創業:一文字屋和輔・和菓子製造販売(現存する世界最古の茶店)
6、1160年 通園 製茶業
7,1184年 菊一文字 刃、後鳥羽上皇の御番鍛冶
8、1312年 屋根惣 文化財の屋根修理業
9 1333年、乾大仏堂
10, 1466年本家尾張屋、蕎麦菓子
11,1599年 みなとや幽霊子育飴本舗
12、1689年半兵衛麸
13、創業年不明 1769年より記録。株式会社菱六 種麹屋(現存する日本最古の種麹屋)
※㈱傳來工房
弘法大師(空海)が唐より持ち帰った鋳造技術を受け継ぎ、以来、技能の一番優れた一番弟子が代々「傳來(でんらい)」の銘を継承し、現在に至る
上記にあげた老舗企業は皆様が良くご存知の企業です。京都は老舗のまちと言われますが、それは1074年間もの長きにわたる都であったことから推察すると当然のことです。しかし、残念なことに、伝統産業を支える職人さんが激減していて、染め物の刷毛をつくる職人さんはほとんどおられません。また、細々と伝統産業を守る方々も大変な想いで日々努力されていても、現実に安価な工業用品等に取って変わるために、とても厳しい現実があります。
日本には、100年以上続く「老舗企業」が約4万5,284社(2025年)あり、その数は世界一です。これらは製造業、卸売業、小売業に多く、伝統的な職人技や地域に根差した事業を継続しているケースが多く見られます。日本最古の企業は、578年創業の金剛組などが挙げられます。
日本には創業100年以上を数える老舗企業が4万5,284社存在し※1、世界全体の老舗企業の約半数を占めている※2ことから、日本は「老舗大国」と称されています。100年以上にわたって企業が存続してきたということは、生活に親しまれ価値を100年以上提供し、愛され続けてきということです。しかし近年、経営者の高齢化や従業員の人材不足、原材料の高騰やデジタル対応の遅れなど、複合的な要因が重なりあい老舗企業の倒産が急増しています。社会構造が急速に変化していくなかで、「歴史を積み重ねてきた」だけでは生き残れない現実が浮き彫りになっています。
老舗を都道府県別で見ると、京都府(5.26%)がトップですが、古くから都があり、中心地として栄えたことや、第二次世界大戦中の被害が比較的小さかったことなどが要因としてあげられます。
日経BPコンサルティング・周年事業ラボでは、世界の企業の創業年数が100年以上、200年以上の企業数を国別に調査しています。日本は企業数で世界1位となっています。世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業という結果です。さらに創業200年以上の企業では、その比率は65%まで上がるのです。
(次号へつづく)