一本橋(行者橋、阿闍梨橋)はアビーロード?
土居好江
三条通の南、白川にかかる一本橋(行者橋)2023年9月9日撮影
地下鉄東西線の東山駅のすぐ近くに、古川町商店街があります。その東側に流れている白川にかかる橋が、一本橋です。 古川町商店街は平安時代から1300年以上の歴史のある商店街で、「京の台所」と言われている錦市場に対し、かつては「東の錦」や「京の東の台所」とも言われるほど親しまれていました。
古川町商店街は若狭街道(鯖街道)の一部だった古川町通にあります。古川町通は天正年間(1573年~1590年)以前から若狭街道として利用されていましたが、その後廃道になり田畑となって、1666年(寛文6年)に復旧しました。
何故、白川と呼ばれるか、川底の砂が白い色をしていることから、白川と呼ぶようになったようです。この白い砂は上流のものは美しく、龍安寺や大徳寺などの庭園にも用いられているようです。
近年はテレビドラマでもロケ地となり、写真手前の親水テラスは多くの地元市民や観光客にも親しまれています。
明治40年(1907年)に掛けられた一本橋は比叡山の千日回峰行京都大回りの修行の折、最後にこの一本橋を渡ることから、行者橋、阿闍梨橋とも呼ばれています。粟田口の尊勝院の元三大師に、その修業を満行したことを報告するために渡る橋です。しかし、千日に渡る(約7年間)荒行の最後の9日間は、飲まず、食わず、寝ずの過酷極まりない修行で、行者が渡ることは誰にも知らされず、この橋を渡る姿を撮影するのも禁止されています。
欄干もなく、石でできた長さ12メートル、幅60センチの簡素な橋ですが、味わいのある橋で柳の並木に良くマッチして、撮影スポットになっています。
スポットといえば、ビートルズの聖地・アビーロードスタジオの前の横断歩道は、世界一有名な横断歩道です。ビートルズがアビーロードを有名にしましたが、この一本橋を「アビーロード」のジャケットのように数人が渡り、写真に収める方が多くいます。まさに隠れ撮影スポットでもあります。取材に訪れた日も海外からの観光客が、この一本橋を楽しそうに渡っていました。
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