賀茂なす農家

今日は朝早く起きて、京都市の北部、静原へ賀茂なす農家をお尋ねしました。バスで向かう山道は、空気も水も綺麗で、山と畑の田園風景が続きます。八隅真人さんの八隅農園は賀茂なす農家として620本の賀茂なすを栽培されています。そのハウスにお邪魔させていただき、いろいろとお話をお聞きしました。
6月に大阪で開催されたG20でも各国首脳陣に、ここの賀茂なすを召し上がって頂いたそうです。私もこの賀茂なすを料理しましたが、とても美味しくて、柔らかくでジューシーでした。

茄子は天平年間 (729年~749年) にインドから渡来し、鎌倉時代から栄養価の高い食物に恵まれた豪商や公家から排泄される人糞で土が肥え、京の気候風土によって美味に育った京野菜です。 江戸時代、現在の平安神宮の北側の鴨川河原付近で、数百年に渡って代々の農家が育ててきた努力の結晶です。京の山々、京の気候、そこに住む人と京文化が詰まっています。
賀茂なすは繊細な品種で、植える時期や受粉のタイミングも難しい伝統的栽培技術が必要な野菜です。京都の気候風土と畑土がマッチングして育った加茂なすです。普通の茄子の3倍の水と3倍の肥料を使っても三分の一の収穫しかできない品種です。日光が当たりすぎても、少なくても良い賀茂なすはできません。
賀茂なすは表面の光沢が美しく、へたの下が白い、大型の丸いナスで、ソフトボールのような球形で、直径10〜12cm、重さは400〜500gもあります。大きいものは1kgにもなります。光沢のある紫色が特徴で、果肉が厚く、肉質がしまっているために煮崩れしにくいのです。

5年ほど前に、フランス・パリを訪問した時に、行政機関を数軒表敬訪問しました。その折、ヴェルサイユ宮殿で栽培した京野菜で食事会をしたとのことでしたが、賀茂なすは大きくならず、茄子紺色に発色しなかったようです。これは京野菜というよりヴェルサイユなすで、繊細な賀茂なすを栽培することが、如何に難しいかを物語っています。
八隅農園 (やすみのうえん) では直径12センチから13センチ以上の賀茂茄子しか出荷しません。約33メートルもあるハウスに180本の賀茂茄子の苗が栽培されており、4棟合わせると620品の苗を育てています。花が咲いて2週間で大きな実に成長しますが、花のカタチで実のカタチもわかるそうです。花のカタチが悪いものは最初に廃棄されます。お手間入りな京野菜です。

http://www.kyokamoyasai.jp/seisansha/yasumi_masato.html

 

 

 

 

Pocket