現在の振り売り・八隅農園さん

土居好江

                                                         六角堺町角での振り売りの2023年6月29日午前10時10分

           大原女            桂女(時代祭の行列)                       白川女

     毎週木曜日に上賀茂の京農家・八隅農園さんが、洛中へ振り売りをされています。堺町六角の角に軽自動車に野菜を積んで販売されているので、お待ちして買うことができました。江戸時代はてんびん棒の両脇にくくりつけた籠に入れた野菜や花を売り歩いていた振り売りでした。時代が変わり、リヤカーや大八車での振り売りが登場し、現在では軽自動車に代わりました。

   生産者が直接消費者へ行商するのが、京都の振り売りです。江戸(東京)にも振り売りがあったようですが、市場から消費者というシステムが江戸の形態でした。

   京都では、名物の振り売りがありました。大原女(おはらめ)は鎌倉時代から昭和初期まで左京区大原の女性が徒歩で往復20数キロの道中、40キロぐらいの売り物を頭に乗せて洛中まで降り売りをしていました。

   桂女(かつらめ)は平安時代からが明治まで、鮎や飴を売り歩いていました。現在は閉店されましたが、桂飴という昔ながらの飴屋さんが桂にありました。応神天皇がご幼少の頃、桂姫が桂飴をお湯に溶いてミルク代わりに天皇に与えたという物語をお聞きしたことがあります。

   白川女(しらかわめ)は左京区白川に住む女性が洛中まで草花を売り歩いていました。御所にもお花を届けていたといい伝えられています。今では軽自動車での販売となりました。「花、いりまへんかー」という呼び声が名物だったようです。

   大原女も桂女も独特の装束で、今では祭でしか見ることができません。もう過去のものとなってしまいました。

   野菜の現代の振り売りは、季節によって野菜の種類は異なりますが、6月の下旬、六角堺町へ午前10時に参りました。おそらく、振り売りをお待ちになっているお客様が「まだやなぁー」と話しておられるのです。振り売りの車が到着すると、どこからとなく十数人のお客様が集まり、買い物をされていました。おそらく、お馴染みさんの常連客さんですね。

 毎週木曜日、午前10時に堺町六角、午前10時10分頃西洞院四条下る、午前11時に祇園花月の下の通りで振り売りされています。

 私はトマトや賀茂茄子、キュウリ、ハンサムグリーンというレタスを買いました。どのお野菜も美味しくて、食べ過ぎてしまいました。静原の畑まで、お伺いしたことが何回もあります。イチゴも美味しくて、種類が異なるのか、愛情一杯注ぎ込んだ野菜を育てておられます。冬はすぐきを育てて、すぐき小屋ですぐき漬けの漬けものをつくっておられます。毎年、冬になると西賀茂のすぐき小屋まで、お伺いするのですが、とてもやさしいお味のお漬物です。一年を通して季節の自然の恵みを一杯浴びた野菜を、楽しまさせて頂いております。

以上

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