川端康成先生生誕122年に思う
昭和37年6月25日発行の『古都』初版本 定価350円
1899年6月14日にご生誕122年の川端康成先生を忍んで、『古都』を読んでいます。日本人初のノーベル文学賞受賞作品として、京都のまちが主役の『古都』は、見事に京都の魅力を引き出し教えてくださいました。京都のガイド本としても優れています。
私は京都を四季折々、色彩で表現されているところに感動します。山辺から鴨川の風景や、町家の様子を描かれたものは、東山魁夷画伯が「京洛四季」で見事に描いてくださっています。「京都は今描いといて頂かないとなくなります。京都のあるうちに描いておいてください」と東山画伯に懇願された通りに、京の自然の美しさ、まちの美しさ、京都らしさを描いて下さっています。 毎日、山を見て暮らす京都市民は毎日、時間と共に変化する山の色に敏感です。ここに京都人の美学の基盤があるようにも思います。
この『古都』初版本はモノトーンの装丁で、京の町を表しているように感じます。京の町はモノトーンで朱色の鳥居や鴨川、桂川等の水辺と東山や西山の山辺のみどりが、とても心地良いものです。康成先生の想いは、ノーベル賞受賞スピーチ「美しい日本の私」から、川端香里男先生は「人は死んでも何も残らないが、自然はあるがままに残る。この美しい日本を遺し守り、後世にいかにして引き継ぐことができるのか、これが川端康成の課題だったと考えるところです」と教えてくださいました。(京すずめ学校 川端康成の愛した京都、2008年)
京都の6月、川端康成先生、東山魁夷画伯の描く京都をイメージしてみては如何でしょうか。
以上