京都の引力25  飲む抹茶から食べる抹茶 茶団子の開発

土居好江

  昔から宇治へ行くと、必ずお伺いする茶団子屋さんがあります。今では京名物として有名な茶団子で、一度は召し上がったことがあると思います。茶団子は大正時代に3年かけて考案されたものです。茶処ならではの和菓子ができないものかと、チャレンジされました。それで、誕生したのが一口サイズの茶団子です。大正8年でした。茶団子は大正時代から昭和の初めに土産物として定着していきました。

 総本家大茶萬の先代・須知万吉氏が考案し、戦争で一時中断したものの、戦後、昭和24年、25年頃から茶団子の生産が開始されました。地元が元気になるようにと、開発した須知万吉氏は商標を取らずに、同業者に開放したそうです。

 「大茶萬」はJR宇治駅から徒歩5分ほどのところにあるのですが、あまりの美味しさに、初めて食したときは驚きでした。手間暇かけて、無添加で米粉も手ごねですから、創業時代のままの味をお楽しみいただけます。

 宇治に7軒ある団子屋さんで、唯一、今も手作りで団子をこねて作っておられます。機械では味わえない微妙な味と柔らかさが特徴です。もちろん、無添加、保存料も入っていないので賞味期限は短いです。

 ひとつひとつ丁寧に、素材が持つ本当の美味しさを追求しているため、その分、美味しさは極上です。以前に大量に注文した時「手ごねなので、大量にはつくれないので、時間を下さい」と時間差で受け取りに行ったこともありました。ともかく、美味しいのです。現在はほうじ茶団子も販売されています。ようかんや栗大福などもいろいろ販売されています。

 京都には、食においても職人さんが創意工夫を積み上げられたもので、沢山あります。京名物といわれるものが、京都ならではの歴史と伝統に裏打ちされています。先人に感謝して味わいたいと思います。

以上

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