京言葉“おおきに”

土居好江

 東京や首都圏で講演させて頂くと「今日は京都弁が聞けてうれしかった」とよく申されます。私は京言葉で話しているつもりはないのですが、言葉の響きが標準語より、「はんなり」しているのでしょうか。イントネーションが異なるのかもしれません。文字で書いても、耳で聞かないとわからないのが、京言葉です。

 日本語は特殊な言語で、 自然の音に近く 200〜1500Hzの音帯であると言われています。英語は2千〜1.2万Hz 自然音とは乖離している のです。日本語は母音子音全てに意味があり  自然界の身体に、良い周波数を取り入れることに繋がるらしいのです。

 1987年に世界で初めて水の結晶写真の撮影に成功した江本勝氏が、水に「有難う」と声を掛けると綺麗な結晶になることを証明されました。「ばかやろう」と暴言を吐くと水の結晶はゆがみます。言葉の持つエネルギーが影響しているのでしょう。

 江本勝氏の著書『水からの伝言』や『水は答えを知っている』を通して、水と意識、波動の関係を広く世界に伝えました。 

 その結晶は人々の感情、言葉だけではなく、見るもの聞くものにも影響を受け、結晶が形づけられます。「有難う」という感謝の言葉はエネルギーが高いようです。同じ言葉でもエネルギーの強い言葉と弱い言葉があることも驚きです。

 我が家では花瓶に生けた花が枯れて役目を終えるとき、「ご苦労様でした」「おおきに」「有難う」と必ず声にだしてゴミ箱へ納めます。「おおきに」とは「大きに有難し」が語源です。水に記憶があるなら、土地や空気にも人間界からの波動や記憶があるはずと私は考えています。大切に使っていた道具類は長持ちしますし味わいがあります。目に見えない感情が大きく影響するということになります。

 京都では感覚言語というか、「ほっこり」とか「はんなり」という感覚的な言語が発達していると思うのは私だけでしょうか。

 角田忠信(つのだ ただのぶ)東京医科歯科大学名誉教授は著書『日本語人の脳』の中で「日本人は虫の声が読み取れる」と述べています。西洋では雑音に聞こえるそうですが、日本人は右脳がとても発達しているので、虫の声、鳥のさえづり、蛙、犬、猫、牛などの感情音(ハミング、鳴き声、笑い声、歓声、小川のせせらぎ、風の音等)は日本人では言語脳優位で聞き取るのだそうです。

 右脳と左脳の働きが日本語を母国語とするか英語を母国語とするかで、どちらが良く働くのかが変わると言う事実は、とても興味深いものです。

 京言葉は愛を上乗せして話す言葉と思っています。愛とエネルギーあふれる言葉が京言葉ではないでしょうか。

 祇園の花街で「おおきに。よろしゅうおたの申します」と言われたら、こちらが返事していなくても頼まれたことになるという、あいまいさが京言葉にはあります。ご近所の立ち話で「お出かけですか」「えぇ、ちょっとそこまで」「はぁ、よろしいぃなぁー」という会話が成立するのも京都ならではのことです。

 京都生まれ、京都育ちの私が最近思っていることですが、皆様は京言葉をどのようにお考えでしょうか。おおきに!。
以上

Pocket