京の奈良漬け 田中長
京の老舗漬物店・田中長奈良漬店をご訪問して、代表取締役・田中長兵衛氏のお話をお聞きした。漬物の起源は藻塩を神様にお供えした時、野菜も一緒にお供えしたところ、野菜が長持ちしたということが漬物のルーツらしい。
醤(ひしお)と粕につけて野菜を保存した粕漬けを何故、奈良漬けというのか、奈良時代に奈良漬けが発祥したらしい。奈良には美味しい奈良酒があったという。醤油ともち米を仕込んで味醂になるが、この味醂で漬け込んでいるのが、田中長の奈良漬けで、1789年(寛政元年)の創業以来、味醂を製造してきました。そして、自家製の奈良漬けを味醂に漬けこみ、2年間もの間、熟成させ、何回もの漬け替えを行いまろやかな味に仕上げます。創業以来200年間変わらない漬け方です。
奈良時代の長屋王邸から出土した木簡(現在の宅急便の配達票)に加須津毛瓜、加須津韓奈須比、醤津毛苽等の記述があり、平安時代の延喜式にも「粕漬瓜」があり、これが奈良漬の原型と考えられるという。
我が家の両親が京土産として、良く買い求めていたのが、田中長の奈良漬けと望月(明治元年創業の木屋町三条上がった満月本舗の望月、満月のことを望月と言い、真ん丸な回転焼きのようなどら焼き)が定番だった。日持ちがして、冷えた望月が子供の頃の一番のお菓子だった。また、鉄板の上で焼かれる望月を眺めるのが、とても楽しかったことを思い出す。
望月は2006年5月に休業されて、現在は手に入らない老舗の菓子で、懐かしく思い出す。
子供の頃から良く食していた奈良漬けは、いつ食しても懐かしく美味しい。
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