京の夏の代表銘菓・したたりの亀廣永(かめひろなが)

亀廣永のご当主・西井新太郎をお尋ねしました。京の夏を代表する銘菓・したたりの考案者です。ご当主ご夫妻を拝見しているだけで、清々しい気持ちになります。
こんなに仲の良いご夫妻を拝見したことはありません。「家内のお陰で今の私があります」とご当主。女将さんは「主人がいてくれて今の私があります」と。偶然、ご帰宅された女将さんの口から出た言葉でした。
「結婚して54年の間、口喧嘩したことは一度もありません。そんなことをしたら商品に影響します」とご当主が申されると、女将さんは「私は本当に幸せです」と。

ご当主はお菓子を作るために生まれた方だと思えるほど、無類のお菓子好きで研究熱心、その上、誰からも慕われ尊敬されるお人柄だと分かります。

人生を語ってくださいました。滋賀県高島の安曇川の近くの農家に生まれ、子供の頃からお菓子作りをやりたいと思い、学校の帰り道はお菓子屋さんの前を寄り道をしていたと。京都へ出て老舗の京菓子屋、大阪の菓子屋に丁稚奉公の後、
亀廣永で修行し、そこの長女と結婚され、今日に至っています。
菊水鉾町には、室町時代の末に千利休の師にあたる武野紹鴎(たけのじょうおう)が、大黒庵を構えていた場所でした。茶の湯の原点の地でもあり、菊水鉾では再興した昭和の時代から茶会を行っています。再興から何年か経ったころ、亀廣永に依頼し、菊水鉾献上の和菓子「したたり」が約48年前に考案されました。
菊水鉾は中国の故事、「菊慈童」の話にちなんで作られた鉾で、菊の露のしたたりを
呑んで700歳の長寿を保ったことから、不老長寿の菊水にもちなんだ鉾です。
「したたり」と命名したのは、八坂神社の宮司であった高原美忠氏で、菊の葉からしたたり落ちる薬水のイメージから名前がつけられています。御菓子の包み紙に書いてある「したたり」という筆文字も高原宮司の書です。原材料も国産の黒砂糖、水飴、和三盆、寒天を使い透き通る琥珀色の見た目にも、味わいしたたる食感です
「したたり」は琥珀羹の一種ですが、その甘味に沖縄産の黒糖、上質なざらめ、阿波産の最高級の和三盆、コシの強い丹波の寒天等、究極の素材を使って仕上げています。また、京都の地下水とマッチングして、京都ならではの、夏の代表的な京菓子として、人気のあまり通年販売されるようになりました。

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