究極の異文化体験

今年の3月31日~4月1日の2日間、バングラディシュの大臣ご一家の京都案内の企画と、ご案内を担当させて頂きました。日本の桜を楽しみにされているとのことでしたので、美しい風景の京都を、お楽しみ頂くコースを考えました。
入洛の初日、夕方に鷹峯の常照寺の奥田正叡住職をお尋ねしました。到着するなり 「旅の安全を祈るため、お経をあげましょう」 と20分間、読経して下さったのですが、私は予定外のことに驚きました。イスラム教徒の方に理解して頂けるかどうか、とても心配しました。
すると 「ブディストがどんな風に祈るのか、わかってとても良かった」 と仰るのです。また、説法も真剣に聞かれていて、質疑応答も弾みました。「人間は死に向かって生きているが、それは反対の方向から見ると、とてもよくわかる…….」 というようなお話でした。究極の異文化交流です。
「手を合わせて合掌するのは、右手は清浄な手で、左手が不浄な手とされ、合掌することで、清浄な手は仏を意味して、不浄な手は人間を指し、仏と人間が一体となるという意味があります。そういう意味で仏に祈る時は合掌をするのです」。

また、翌日は4月1日から開幕する 「都をどり」 のチケットを祇園のお茶屋・松八重さんにお願いをして予約を取って頂きました。白洲次郎のご贔屓(ひいき)だったお茶屋さんです。
以前、秋田県の方が 「京都への恋文」 で入賞されたのですが、修学旅行で入賞式にお越しになれなくて、松八重の女将さんと若女将が代理出席して頂いたご縁で、お伺いさせて頂く機会がございました。歌舞練場が耐震工事中で、今年は南座での開催でしたが、皆さんがとてもお喜びでした。
桜の美しい季節、世界のセレブは4月に日本の桜、5月にイギリスのバラを見に出かけると聞いたことがありましたが、その季節だけ、その時だけの瞬間に立ち会える幸せがあることを、今回は痛感しました。毎年、桜の花見ができることが当たり前の日本人ですが、美しい国土に生まれたことに感謝の気持ちがこみ上げて参りました。

海外からの観光客が多い京都は、江戸時代からの観光客を受け入れてきましたが、これほど多くの観光客がお越しになるとは、想いもしませんでした。住民と観光客がうまく共存できるような対応を早急につくりたいものです。
以上

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