祇園祭の7月
四条御旅所前から八坂神社へ |
御旅所の前 2024年7月24日撮影 |
土居好江
7月17日、24日の山鉾巡行と御輿渡御、静と動の対照的な祭が祇園祭の持つ魅力です。松尾大社(まつのおたいしゃ)の神輿も独特のホイット、ホイットとかけ声が響きます。このホイットというかけ声には、どんな意味があるのでしょうか。
ホイットホイット。・・げんきよくいくとき
よーさの。…おろすとき
ヨイヤッサージャ。・げんきよくかつぐとき
よーさー、よーさー。…ゆっくりいくとき
モノを担ぐ時、ヨイショということが多いですが、これは建仁寺の鉦が鴨川から流れてきて、それを引き上げるときに、みんなが、建仁寺の栄西禅師の名前を叫んだからという文献を20年ぐらい前に読んだことがあります。「よいさい、ようさい」と声を出しながらみんなで引っ張ったというのです。それが、いつの頃か、「ようさい」が「よいしょ、よいしょ」と変わっていったという内容でした。明確に覚えておりますが、書籍が行方不明で確認することができません。かなり古い時代、鎌倉時代頃から「よいしょ」という言葉があったようです。
そこでホイットという言葉ですが、広辞苑は「ほい」の意味として「物をかつぐときのかけ声」とあります。祇園祭の神輿の担ぎ手は、明治から昭和中期は材木業関係者だったといい「物を担ぐかけ声から『ホイット』になったのでは」と言われていますが、そのルーツは謎です。
林業関係者の方にお聞きすると「ほいっ」と言って丸太を担ぐそうです。明治から昭和の時代「ホイット」が「ほいっ」に変化していったのではないでしょうか。
長柄を含めて重さ2トンの神輿を、約850人の担ぎ手が、入れ替わりながら担ぎ、要所で高く差し上げたり、回したりするのは勇壮です。息が合わなければ大事故につながる危険性があり、この「ホイット」の掛け声でリズムを取っているのです。
無事故で神事を終わらせる意味でも、かけ声で集中力と団結力を高めているのでしょう。現場で何回も神輿渡御を拝見していますが、元気が湧き出るリズムとかけ声、やはり神がかっています。
以上