文化の遺伝子とネアンデルタール人の遺伝子が生存の分かれ目?

ネイチャー誌掲載論文の図、

ネアンデルタール人遺伝子保有分布図

筆者は一卵性の双子で、子どもの頃から遺伝子について、とても関心が高く高校生の時から様々な文献を読んでは、ドクターを質問攻めにしてきた経緯があります。

今回のコロナ騒動で、ネアンデルタール人の遺伝子コードを保有する人は重症化する確率が3倍高くなるという研究論文が9月30日に発表され、多くの記事が多く掲載されています。大変興味深いのは、この新型コロナウイルスの症状が、遺伝的要因も影響しているということです。

 ヒトゲノムの染色体は23本の中で3番染色体の遺伝子変異が重症化と関連していることがわかっています。50万年前に現生人類とネアンデルタール人に共通の祖先からこの遺伝子を受け継いだようですが、4万年前にネアンデルタール人が絶滅するまで、共存していたようです。ホモサピエンスよりもネアンデルタール人の方が身体能力も格段と優れていて、脳の重さもホモサピエンスよりも重かったようです。更により最近の交配によって現在の人類に受け継がれた可能性が高いと結論付けています。

何故、これほど優秀なネアンデルタールが氷河期に絶滅したのか、身体能力も劣っていたホモサピエンスが生き延びられたのか不思議です。ネアンデルタール人は狩りでも少数で獲物を獲得できるほど強く賢かったようですが、ホモサピエンスは力が弱く集団で獲物を獲得するぐらいの身体能力だったとようです。千人単位の集団で生きることで助け合い、氷河期にも食料の確保ができましたが、ネアンデルタール人は十数人の集団で暮らしていたので、助け合うことが難しく絶滅したと言われています。

支え合う、助け合うということが文化のルーツではないかと試行錯誤して筆者は確信しました。文化の遺伝子も受け継がれていきます。目に見えるカタチでの継承の一つに、古代から東天に昇る太陽を拝して一日が始まった日本人の習慣は現在も継承されています。

京都に賀茂茄子、すぐき、賀茂ネギ、赤しそという京野菜がありますが、これは上賀茂地域の京野菜農家にしか種子は手に入りません。気候風土にあった種子を守るための防衛策と言えます。これも一種の文化です。種子を守ることで京野菜を正確に継承していくという文化です。

 

 思いもしないはるか大昔の遺伝子が、現在の新型コロナウイルスの重症化に関係していることは、驚きです。特にバングラデシュでは遺伝子断片を63%の人が保有しているとのこと、欧州では16%、南アジアでは50%、東アジア、アフリカでは、保有者がほとんどいないということです。インドは10月現在700万人が感染し、10万人が亡くなっています。

 2008年にはシベリア、デニソワという洞窟で発見された歯が現生人類のものでもネアンデルタール人でもない、第三の未知の人類・デニソワ人が発見されました。4万年~6万年前までお互いに交配していたと思われます。三つの人類の祖先が共存していたことも驚きです。

遺伝子の流れがネアンデルタール人からの由来もある壮大な歴史の中で、現在の人類が生きていることも自分自身の存在も神秘的であり、不思議なことでだと思う毎日であります。

文化の遺伝子を引き継ぎ、京文化の素晴らしさを発信して参りたいと存じます。

以上

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