川端康成先生のお誕生月・6月 <1>


『古都』初版本定価350円
昭和37年6月25日発行 
     

京都府立植物園の楠の並木道 
2024年5月31日撮影

  土居好江

 6月は川端康成先生のお誕生月です。1899年6月14日のお誕生ですから今年で生誕125年となります。没後52年目になります。『古都』には、2024年で開園百周年の京都府立植物園がたびたび登場します。5月、6月に2回に渡り、京都府立植物園にお伺いしました。日本の著作権は70年ですが、海外の国によっては著作権は50年間です。『古都』の出版が中国等では著作権が切れている関係もあり、昨年当たりから小説『古都』がブームになっています。海外から『古都』に登場する中川地区の「菩提の滝」・・等の名所に興味を持たれている訪問者の増えることが予想できます。

 6月は川端康成先生の誕生月ですので、川端康成先生と植物園について、少し述べさせて頂きます。

 朝日新聞に『古都』が連載され始めたのは、京都府立植物園再開直後の昭和36年10月からですから、『古都』では次のように書かれています。

<植物園はアメリカの軍隊が、すまいを建てて、もちろん、日本人の入場は禁じられていたが、軍隊は立ちのいて、もとにかえることになった。

 西陣の大友宗助は、植物園のなかに、好きな並木道があった。楠の並木道である。楠は大木ではないし、道も長くはないのだが、よく歩きに行ったものだ。楠の芽ぶきのころも…。

「あの楠は、どないなってるやろ。」と、機の音のなかで思うことがあった。まさか占領軍に伐り倒されてはいまい。宗助は植物園が、ふたたび開かれるのを待っていた。>

 樹齢百年を超えるくすのき並木や大きなヒマラヤスギなど、開園当初からある木々が今も現存しています。その並木道を歩くと清々しい気持ちになります。

やはり、自然の恵みを頂けるのでしょうか。木々に囲まれた植物園ならではの清々しさを感じます。

京都府立植物園

 2024年は開園百周年を迎える京都府立植物園、1924年(大正13年)1月1日の開園から100年を迎えました。開園当初から24万㎡の広大な園内には1万2千種類、12万本の植物を栽培しています。春は180品種もの桜、夏は樹齢100年超の楠の並木、秋は約1,000本の色鮮やかな紅葉が迎えてくれます。四季折々の美しい植物が楽しめます。また、熱帯から高山植物までそろう日本最大級の観覧温室は、国内初展示や初開花の植物も多くあり、日本最大級の温室です。

春や秋に約320品種が花を咲かせるばら園は5月の見頃に時期は多くの人出があり、比叡山を借景に拝見することができます。植物園の設計をされた方の哲学も反映されていますので、遠くの山も併せてご覧ください。

 京都府立植物園は日本で最初の公立植物園として、大正13年に開園していますが、昭和21年から12年間は連合国軍に接収され、昭和36年4月にようやく再開しています。(次号へ続く)

以上

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