「こころの住所」は京都市京すずめ区?!

土居好江

京すずめの「京都への恋文」書棚のファイル(2024年7月8日撮影)

  「第五回京都への恋文」の応募作品を何回も拝読させて頂きました。拝読する度に、新たな感動が沸き起こり、ご応募くださった方を思い浮かべては、味わい噛みしめながら拝読させて頂き、時間の経つのも忘れるほどでした。

 審査委員の先生方も一般投票して頂いた方々も同じ想いだったことでしょう。京都での思い出や京都に期待すること、奥深い京都の歴史や文化から学んだこと、京都でこんなご案内をして差し上げたいと愛情が凝縮した内容が多かったように思います。人生そのものを語ったくださった作品が多く力作ばかりです。

 九州から北海道まで、全国からご応募いただいた作品は、すべて深い想いで書かれていました。お住まいの住所はまちまちでも、「こころの住所」は京都市京すずめ区では?と思うほど、京都大好き人間様の作品群でもあります。これほど、京都というまちに憧れ、思い入れを語る方々がこんなにも、おられるとは、凄いまちに住まわせて頂いていることに、逆に私自身が感謝の気持ちで一杯になりました。京都に有難う!有難う!と御礼を申しました。

 ご応募の作品から、千年かけて出来上がったまち・京都の隠れていた良さ、素晴らしさを再認識することができました。有難うございました。

 最近のインバウンドの復活で、観光客の方も多くなりました。新聞ではオーバーツーリズムを観光公害と訳していますが、観光客に失礼な言葉です。観光で経済が賑わっているまちが使うべきではないと思います。公害という加害者、被害者が対立する言葉のバックグラウンドに愛が無いからです。国際観光都市・京都が使う言葉とは異次元です。

 2024年4月24日の京都新聞にはオーバーツーリズムを観光過剰と訳してありました。これが世界的な言葉の意味だと思います。京都にとってはチャンス、オーバーツーリズムはチャンスなんですね。

 しかし、行政の政策や対応が、追い付いていないのが現状です。それはオーバーツーリズムをチャンスと捉える前提が希薄であるからです。

 日本の2024年1月~3月のインバウンド消費額は年換算で7.2兆円です。これは10年前の5倍になります。10年間で5倍になった他の業界はありません。コロナ禍以前(2019年)よりも38,8%も伸びているのです。世界を見てもどこにもありません。日本は群を抜いて伸びています。40%近く伸びている国は日本だけです!比較できる業界ではないと思いますが、伸びている半導体でも5.5兆円で、伸び率は40%です。第2位がスペインで30.7%、第3位がイタリアで16.5%です。日本が円安ということもあり、訪日しやすい環境があります

 この2024年4月の訪日外国人の数は3,042,900人で前年同月比プラス56,1%となり、かなり上昇しています。(JNTO推計6月12日更新分)

  インバウンドの伸び率は60%で、もっと真剣にウエルカム政策のボトムアップを市民も行政と一緒になって考える時期であると思うのです。

令和4年観光客数 京都市  43,612,000

          京都府 71,284,631       

  「2030年までにインバウンド6000万人、15兆円」の政府の目標を住民の生活との兼ね合いを考えて、どう折り合いをつけられるかを市民も試行錯誤する時、京都の絶対差(乗り越えられない差)が感じられる機会こそ、このインバウンドだと思うのです。神社の鈴を鳴らし過ぎてうるさいのは、こういう文化が無いからです。当たり前が当たり前でないのです。

 現在の京都のすがたを発信することで、日本人のDNAを呼び覚まし、大自然に感謝する文化や、京都に恋するとしか言いようのない、京都への愛着や日本人の精神(こころ)の源流に触れる機会を、作り出していきたいと考えています。

以上

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