越の祓え 神社の6月の行事 茅の輪くぐり
土居好江
今年も、あっという間に6月の中旬になりました。早いものですね。京都では6月30日に夏越の祓え・茅の輪くぐり行事で上半期の穢れを祓い、下半期の健康を祈ります。全国的にも行われている行事です。6月と12月の大祓(おおはらえ)の6月は夏越の祓(なごしのはらえ)と言い、12月を年越しの祓(としこしのはらえ)と命名したのは、なんと平安時代です。大宝律令(701年)に正式に宮中の年中行事に定められています。
宮中の行事が庶民まで広がり、現在の行事として定着していることは、日本人の価値観が四季折々に合わせて、心と身体のリセットをしたということでしょうか。
京都にとっては、身近な行事ですが、日本全国にコンビニが5万5千店ありますが、神社は8万8千社あります。実はコンビニより多いのです。数多くの神社が四季折々の行事を催しています。
「本質を見るなら裏側を見よ」とよく言われますが、半年に一度、心と身体をリセットするための行事が茅の輪くぐりではないでしょうか。古来から、日本に根付いたリセット方法の舞台装置ではないでしょうか。
その舞台装置が神社の茅の輪くぐりで、夏に向かっての身体づくり、加えて心の大掃除をするのが茅の輪くぐりです。これは神事ですが、こういうリセットは次へのステップに向けて大事なことです。
日本では正月の初詣に800万人が神社へ出かける国です。世界一の宗教行事の参加者です。茅の輪くぐりに日本で何人の方が参加されるのかは、定かではありませんが、神社へ詣でる方が多い国です。
正月を迎える年末の大掃除も、新年を清々しく迎える為の準備でした。そのルーツは「すす払い」という神社仏閣の天井や仏像等を竹ほうきですすを掃う年中行事の儀式でもありました。現在も行われていますが、もともとは歳神様を迎えるために、穢れ(けがれ)を祓う風習でした。
掃除という習慣が定着したのは奈良時代と言われています。ほうきは穢れを清める宗教儀式に用いられていたようです。現在では電気掃除機が大活躍で、ほうきを使わない方もあるかもしれませんが、私は毎朝、玄関や道路の掃除にほうきを使います。とても重宝しています。埃や垢が目に見えて無くなっていくという視覚も大事ですが、心の中をほうきで掃くために、感謝のシャワーで埃を洗い流して笑顔で過ごしたいといつも思っています。
以上