第一回おくどさんサミット開催
創業から400年間、毎日、おくどさんを使い続けた平野屋(愛宕神社一の鳥居前)さんを会場におくどさんサミットを開催させて頂きました。(12月16日、午前11時)おくどさんで炊くご飯の湯気と香りを五感に感じて茶店のおくどさんと対面した参加者は、しばし、江戸時代に逆戻りしたような錯覚さえ覚えたのです。
平野屋の女将・井上典子さんからは幼少の頃から「家の中で一番大切ところがおくどさん」と言い聞かされて育ったこと等を披露して頂きました、200年間毎日使い続けている入山豆腐店の店主・入山貴之さんは「おくどさんは仕事仲間」と「機嫌の良い時や悪い時もある」と日々のおくどさんについて語り、意見交換をしました。また、竃師の宮奥淳司さんは「おくどさんは使いすぎても良くないし、使わなさ過ぎても湿害で土が悪くなる」と製造者ならではのお話に全員納得したのです。宮奥さんは南アフリカまでおくどさんを製作・指導されており、かまどの修復と新規製作に熱意を持たれております。
おくどさん研究会を立ち上げたのは、今から9年前、フィールドワークや研究を続けて、今回はサミットというカタチで開催させていただきました。おくどさんの魅力は何といっても五感がフルに活用され、集中力も養われ、湯気の香りを嗅ぐだけでも、美味しいご飯が想像できるものです。
湯気から香り立つご飯の匂いは、長く日本人が親しんだ香りで、何故か懐かしく、胃袋も脳みそも満腹になり、ワクワクしてきたのです。これが日本人のDNAでしょうか。5年ほど前からは炊飯ジャーの広告を企画する広告代理店から、質問が相次いだことを思い出しました。最近では、首都圏のTV局かから、「何故おくどさんでご飯を炊くとおいしいのですか」という質問がくるようになりました。おくどさんの魅力と威力は最新の炊飯ジャーにも活用されているのです。皆様に是非とも、おくどさんのご飯を召し上がって頂きたいものです。