日本一高い宿泊税・京都市の施行 Ⅱ 京都のご案内を通して
土居好江
2024年9月28日撮影 嵐山
もう10年以上も前のことですが、アメリカ大使館の方から、急に京都案内のご依頼がありました。ご案内当日の朝に「天皇、皇后が行かれたらお喜びになるスポットをご案内してほしい」と申されました。そこで、最初に訪れたのが京都御苑の捨翆亭です。
拾翠亭は五摂家のひとつ、九條家の現存する唯一の建物です。約200年前の江戸時代後期に建てられたと言い伝えられています。2階からは九條池や高倉橋を見ることができる素晴らしいスポットです。数寄屋風書院造りのお屋敷で300円の見学料で拝見できます。曜日によっては閉園していますので、HPをご覧ください。また、半日、1日の貸し切りでお茶会や講座を開催することもできます。
海外の政府観光行政官の方々の研修を担当させて頂いた時にも、この捨翆亭をご案内しました。帰りたくないと申されるほど、お気に召したようで長い時間を過ごされました。
お決まりのコースではなく、ご要望に沿ったご案内ができて安堵いたしました。観光ガイド本に掲載されている寺社仏閣だけでなく、お買い物も楽しみの一つです。
錦市場の有次さん(刃物屋さん、包丁等販売)のお店では、外国人が多く来店されています。全国の旅館の女将さん達をご案内した時、必ず聞かれたことは「千枚漬けの刃を購入したいので、お教えください」と。錦市場の有次さんをご案内します。また、千枚漬けの酢に使う色が無色の酢も村山造酢さんで販売されています。
京都ブランドはプロが専門の店舗で、誰もが購入できる店があり、喜ばれています。また、京都ならではの技術力の高い商品も多く、あらゆる分野でニーズにあった商品が購入できます。
京都は専門性が高くても、ふらっと京都に来て購入することができるまちです。毎年イギリスから日本を訪問される方が、毎年お地蔵さんを一体購入されるそうです。また、信楽焼きのタヌキの像を100体、お土産に購入された方もおられたようです。船便で母国に送られたのでしょうか。驚きです。
常識の範疇を越えるお土産の品々ですが、京都観光も常識を突き抜けてご案内をしていく未来が待ち受けているのかもしれません。また市中に大地の心と対話できるコンクリートに覆われていない御苑や神社、鴨川、桂川等の自然があります。
宿泊税の発想も少し常識の範疇を越えて、寄付のような、人類のふるさと支援金のような発想もできるのではないかと思います。
京都には目には見えないエネルギーが、細胞を癒すような作用をするのでしょうか。目には見えないエネルギーと、目に見えるエネルギーがあると思いますが、その両方のエネルギーが満ち溢れているのが、京都の特性でしょうか。
その源は1074年間もの間、都だった天皇と公家、町衆、の三者がお互いに優しさの中で切、磋琢磨してつくり上げたものなのでしょう。この歴史に感謝し、この空気感を守るための寄付も視野に、新たな制度を行政としてもご検討されたら、如何でしょうか。
例えば“心のふるさと納税”のような高額の寄付をいただいた方には、厳選した癒される京都の心を学べる空間を案内させていただくような内容や地元市民との交流等、京すずめ文化観光研究所もお手伝いできるのではないかと思っています。
以上