大文字送り火と松、神秘なエネルギー
土居好江
京すずめ文化観光研究所のロゴは、漢字の京をデザインしています。山に赤く大の字を表示しています。
今年も8月16日、お盆の締めくくりとなる五山送り火が行われました。大文字送り火の火は松が使われます。松葉も使われます。松葉のヤニは精油成分があり、燃焼のカロリーも高いらしいのです。
この松葉が血栓を予防することは、中国では古くから知られており、松葉の薬効が認知され、仙人がエネルギーを蓄える時は、松葉を食し、長寿の秘薬としていたと言われています。中国の医薬書にもその効果が記され、 松葉のヤニの精油成分が毛細血管を活性化し、血管を強くし、血栓や、動脈硬化を予防する効果があるとされています。
現在でも松葉をポケットに入れたり、松葉を噛んでいると、エネルギーが湧いてくるという方もおられます。古くから松は生命力の象徴だったようです、瞑想する時には松葉を噛むことで元気になり、現在でも松葉をジューサーで松葉ジュースをつくり、水と混ぜて飲んでいる方もおられます。昔から松葉茶は解毒に効くと言われてきました。また青い松ぼっくりをジャムにして食している方もおられます。
松のこういう側面を私は、あまり知りませんでしたが、コロナ禍で免疫力を高める自然療法を調べると、松葉茶が人気で完売して買えない程、品不足だったことがわかります。
五山の送り火に使われる木は、山によって異なるようで、火の色合いが異なるようです。 五山送り火の歴史は室町時代から500年ほどと言われていますが、明治維新後の西洋文明が入ってきた時代は、疫病神を祓う祇園祭と、先祖の霊を送るための大文字送り火は迷信とされて、10年間、禁止された時期もありました。
人は死んで魂が身体から抜けて山頂へ登り、長い年月をかけて山の神になるという考え方が仏教の影響で山中浄土観という考えに発展しました。そして、お盆に帰ってきた霊を再びあの世へ送る大文字送り火(五山送り火)の行事が火を使って、現在でも行われています。
私どもの京すずめの活動にも、火にかんする活動をしております。「おくどさんサミット」を毎年、開催させて頂いています。火の文化という視点で歴史や文化を調査・考察する時、八坂神社のをけら詣りは、をけらという木を火で燃やすと邪気を払い、空中のカビ菌も殺菌できるという効能があります。新年に火種をリセットする考え方も日本的なものです。このをけらは、現在でも着物を、をけらで燻してからしまう風習が、残っているようですが、自然界の素晴らしさを次世代へ継承していきたいと思っています。こういう本来の自然界と人間が備えておけば、究められることが沢山あると痛感しています。
これからの京すずめの活動も、文化や歴史を立体的に究める、京都究プロジェクトを展開して参りたいと思っております。
以上