2025年‣戦後80年  見えないものに畏敬の念を持つ日本文化

土居好江

京都府立植物園2024年6月5日撮影

 戦後生まれの私には、戦争中の大変さは判らないものの、追体験をしてみたことがありました。それで、国と国が争うことの影響は判っていたつもりでした。1945年に終戦をむかえた日本、それから80年になる2025年。アメリカ建国は1776年、2026年には建国250年を迎えます。京すずめは2026年に創立25年を迎え節目の年となります。創立の2001年には、想像もできなかった年月です。   

 アメリカ建国時代の苦労が描かれた書籍を読んだことがあります。それはそれは想像を絶するものでした。食べる物もない状況の中で、どうやって生き延びたのか、たった200年で世界の覇権を握る国になったことは驚きです。

 16世紀にはポルトガル、17世紀にはオランダが、18世紀、19世紀はイギリスが覇権国でした。20世紀、第一次世界大戦後はアメリカが世界を席巻してきました。

 中国がアメリカのGDPを超えるのが2037年になるとの予測をイギリスのシンクタンク経済ビジネスリリサーチセンター(CEBR)が2024 年12月26日に発表しました。日本のGDPは2025年にはインドに抜かれて世界第5位になる見通しです。IMFによると推計インドのGDPは4兆3398億ドル、日本は4兆3103億ドルとなります。インドが3位に躍進し、ドイツが4位に、日本は5位に転落すると予想されています。

 経済だけの数値で国力を見ましたが、経済よりも大切なことがあります。文化的な最低限の生活プラス精神的な満足度は、数値では計れません。数値で計れないモノこそ、目には見えないけれど、見える化してカタチになることで、わかることがあります。

 日本の文化、京都の文化は、目には見えないものに畏敬の念を持つ文化だと思います。食事にしても、調味料、しつらい、自然、風習、祭、生活にしてもです。その原点に戻り2025年をスタートしたいと考えています。

 ブータン王国と交流させて頂いたことがあり、ワンチュク国王から国樹のイトスギを二条城に被災地支援の一環として植樹させて頂いたことがございます。

 その折のやり取りを通して、GDPでは押し計れない心の豊かさ、あたたかさを感じ取ることができました。先進諸国とは異なる意味で、経済社会でお金の価値感が他の価値観を超越するような錯覚がありますが、何が大切なのかがわかる2025年になるのではないでしょうか。愛の満ち溢れた社会になりますよう、祈りながら新年を迎えました。

 京都も平安京は「平安楽土 万年春」と祈りの歌声でスタートしました。当時の最新の風水地理学に基づいて建都された都が平安京であり、京都です。

 戦後80年の節目、もう一度、古き良き伝統をリニューアルしつつ、日本人の誇りを取り戻す時ではないでしょうか

 「祈り」で思い出すことは、映画監督の白鳥哲氏から、ご自分の病気を「祈り」で完治させた体験をお聞きしたときでした。世界中で4万件以上の「祈りの研究」論文があり、ハーバード大学をはじめ世界的な研究論文を教えて頂きました。

 また村上和雄先生(筑波大学名誉教授)が、お元気な時に、4回お会いしてお話をお伺いすることがございました。DNA 解明の世界をリードする先生は、気さくに分かりやすくご教示下さいました。

 日本人は古来より草木の一本からも、あらゆる万物に霊魂が宿り、大自然の恵みによって、生かされて大自然と共に一つの命として捉えてきました。人間も自然の一部であるので、自然を征服するのではなく、自然と共に生きる「共生(ともいき)」です。

 目には見えない人知を超える何かに想いを馳せて生きてきました。これが日本古来からの文化です。こういう日本独自の文化を誇りに思いつつ、すべてに感謝の気持ちで、本年もスタートして参ります。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

以上

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