1万円の観光税は高いのか、安いのか≪12≫最終回 ~観光税の使い道・おこしやすプログラムの創設と新たな観光のご提案   (Welcome Program) 京都のポテンシャルと役割~

 土居好江

「京都は今描いといて頂かないとなくなります。京都のあるうちに描いておいて下さい」と東山魁夷さんに川端康成は言ったものである。その願いが東山さんの「京洛四季」の見事な連作大成に……山が見えない、山が見えない。山の見えないまちなんて私には京都ではないと歎かれた。…しかし都のすがたしばしとどめんとは今日もなほねがう…」

 これは東山魁夷画伯の「京洛四季」序文の一部である。古き良き京都の風景が画伯によって四季折々に描かれていて、懐かしさを感じる風景が広がります。

 自然とまちと暮らしが共に寄り添い守りあうまちのすがたは、毎日山を見て暮らす京都市民の暮らしそのもの。「京都の自然ほど、季節の移り変わりを敏感に受け止めて、繊細優美な美しさを反映するものはあるまい。京都の生活ほど、季節を親しく結びついて営まれている例も少ないと思う。それは遠い昔から日本人の美の心の基盤であり、支えであり、現れであった」との東山画伯の京都への想いは、同じく川端康成先生の想いでもありました。

  昭和時代の京都のすがたを発信することで、日本人のDNAを呼び覚まし、大自然に感謝し、京都に恋するとしか言いようのない愛着を日本人が持つ京都を描きたいと執筆された『古都』です。

 11回に渡り、観光税について述べさせて頂きましたが、今回で最終章です。京都を訪問される皆様が京都を満喫され、幸せな気持ちで満たされ、心や魂が癒されることを祈りつつ、沢山の観光客の皆様を歓迎できるよう行政も企業も市民も工夫して参りたいと思います。

  京すずめからは、両者にメリットのある観光税の収支を考えた取り組みの提案、皆様から届いた提案も併せてアピールしたいと思います。観光行政の関係部門での取り組みに期待しております。

  京都がより京都らしく、京都の良さを発揮できるように、京すずめからもご提案を縷々申し上げました。

 京都の役割が何かを明確にしながら、京都が持つポテンシャルを深堀して発信して参りたいと思います。観光税が高いのか、安いのか、それは観光客の皆様がどれだけ京都の光を浴びるかで決まるでしょうか。最後までご高覧賜りまして、有難うございました。

以上

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