除夜の鐘と初詣

土居好江

12月のある日、鷹峯常照寺の奥田お上人様に京都文化観光研究所の取組のご報告にお伺いしました。その折、本堂に通されて、私の為にお経を唱えてくださいました。高音の鐘と低音の鐘を打ち、太鼓と鐘を打ってお経は終わりました。30年交流させて頂いておりますが、こんな贅沢な時間を持たせていただいたのは初めてのことです。

「この鐘と太鼓で邪気が払われたように感じました」と私が申し上げると、鐘や太鼓の音は魔を刺す」と教えて頂きました。

その時、思い出したことが、フランス・パりで「祇園祭がしょぼい祭」と言われて、「これは天と交信して邪気を払っている祭です」と反論したことです。祇園祭の祇園囃子(コンチキチン)で鐘をついて、独特の音程で魔を払って移動していきます。

そういえば、周波数で人間の免疫力も上がるとか、528Hzの音楽を聴くと、細胞が修復されるとされています。音の不可思議さは興味が尽きません。

 

中国・宋に時代((960年~1279年)に鬼門の方向(北東)から鬼が入るので、鬼門封じに鐘をついて 丑寅の間を封じてきました。丑と虎を月に直すと12月と1月の間ですから。大晦日に邪気が入るので、に鐘が使われて邪気をはらってきました。

ちなみに桓武天皇も鬼門封じに比叡山に延暦寺を建て、その延暦寺からまっすぐに降りると御所にたどり着くと言われたものです。裏鬼門は反対の南に石清水八幡宮が建てられたのです。

除夜の鐘も、一年の締め括りに、古いものを捨てて新しいものを迎える習慣です。初詣でも、古くから天皇が新しい年を迎えるのに太陽の光を拝むという習慣があります。元旦には天地四方拝といって、国民の健康と国の繁栄を祈る行事を天皇は2600年続けていますが、元々の意味は初日の出を拝むということが、段々神社に詣でる歴史となってきたものです。心も身体も洗うように脱皮して新しい年を迎えることが、本来の初詣です。

2022年を新たな気持ちで迎え、素晴らしい年となるように、心から願いを込め、皆様のお役に立てる情報を発信して参ります。よろしくお願い申し上げます。

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