初午・稲荷寿司

土居好江

                                                               稲荷寿司と立春朝しぼりの日本酒

 巻寿司(巻酢)の文字は1750年、『料理山海郷』に初めて記載されています。「すだれに浅草海苔、フグの皮、または網を敷いて上に飯を置き、魚を並べて、すだれごと巻く」とあり、現在の巻寿司に近いスタイルです。巻寿司は江戸中期1750~1776年頃に誕生し、1783年頃に一般化したと思われます。

 江戸地域では寿司店は歩き売り(振り売り)、から屋台売りへと移行、いわゆる立ち食いのスタイルで爆発的にブームになり、蕎麦店を抜き去るほどの勢いがありました。ファーストフードが好まれたのです。そして、店舗売りになっても店の横に屋台を併設するなどして店舗と区別しました。

 明治末期、氷の冷蔵庫が普及して、魚の鮮度が保たれ、屋台を併設していた店も、店の中に屋台を取り入れ、それが現在のカウンター席のルーツと言われています。

 娘がイギリス留学時代、寿司屋さんにアルバイトしていた時期がありました。ご注文を頂く時、「ブラウンかホワイトか」、つまり玄米の寿司か、白米の寿司かをご注文いただく時にお聞きしたそうです。ロンドンにはJapan centerがあり、天丼など、ご飯の上になんでも載せるイメージがあり、やはり、こちらも玄米か白米かを選ぶのだそうです。ともかく日本食が受け入れられているようです。寿司が世界で受け入れられてもその国々でアレンジされているようです。韓国ではすし飯の代わりにごま油でキンパとして定着しています。

 今年の初午は2月5日で、初午には稲荷寿司を食すると言われていますが、元来は稲荷神社に稲荷寿司をお供えすることが初午の風習でした。ですから、お寿司屋さんに、お皿を持参して稲荷寿司を2個買いにくる方があったと、老舗の大将からお聞きしました。それが20~30年前からお供えすることよりも、初午に稲荷寿司というキャッチコピーで人が食することを宣伝するようになりました。

   京都の酒蔵では2月4日の立春朝しぼりの縁起酒の日本酒を立春にしぼり、翌日には購入できます。毎年、予約をして購入した究極のしぼりたてを2月5日の夕食に楽しんでいます。私は毎日365日、イワシを食していますので、わざわざ節分にイワシを食さなくても良いのですが、その日は特に立春の縁起物として食しています。週に2回、2日間かけて調理しています。毎日イワシが私のメニューのお供です。

以上

Pocket