お姑さんの米利(メリー)さんの表記から   何故、アメリカを米国と書くのか

 土居好江

アルバムから見つけた戦前の写真

  私のお姑さんは米利(メリー)という名前でした。アメリカで生まれてアメリカ育ち、戦争で日本に帰国しました。アメリカのことを米国と書くことに何の不思議もなかったのですが、米利という表記を知って、なるほどと思いました。

 随分以前に戸籍謄本を取り寄せたことで、アメリカのワシントン州で生まれ、日本語の漢字が当てられていたことを確認したことがあります。また、アメリカの預金通帳の名前も確認した時、漢字表記もあったことを知りました。

 日本は明治維新で開国した頃から、欧米の国を漢字で表記するようになります。その頃から漢字の音を使った当て字が使われ、アメリカは亜米利加と表記され、短縮されて米国になったようです。イギリスは英吉利、フランスは仏蘭西、ドイツは独逸、イタリアは伊太利、オーストラリアは濠太剌利、カナダは加奈陀、トルコは土耳古、デンマークは丁抹、スウェーデンは瑞典、イスラエルは以色列、インドは印度というように表記しました。

 その名残で米国、英国、仏国、独国、伊国、豪国等と現在でも使われているのです。日本では16世紀の南蛮人が訪れ、日本独自の漢字表記が工夫されました。もともとは中国で漢字表記がされたことに起因するとされています。漢字表記の歴史も日本語のキャパの広さと工夫がされていて、面白いと感心しました。

 漢字を使用している中国の中国語での国名表記もご参考までに記載しておきます。発音は異なりますが、同じ文字で表している国名もあるようです。

国名 日本語 中国語
アメリカ 米国 美国
イギリス 英吉利 英国
フランス 仏蘭西 法国
ドイツは 独逸 徳国
イタリア 伊太利 意大利
オーストラリア 濠太剌利 澳大利亚
カナダ 加奈陀 加拿大
トルコ 土耳古 土耳
デンマーク 丁抹 丹麦
スウェーデン 瑞典 瑞典
イスラエル 以色列 以色列
インド 印度 印度

資料整理の合間に、久しぶりに写真の米利さんと会話したひとときでした。

 

以上

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