京都への恋文広場広場長(審査委員長)からのご挨拶 井上章一
私は京都の西郊、花園に生まれ嵯峨でそだちました。今は南郊の宇治でくらしています。これまでの人生をずっと京都の周辺で過ごしてきたことになります。もう、六十六年間も。
京都という街のことも、それなりにわきまえているつもりです。そして、私はこの街のことが、あまりに好きになれません。いやだなと思うところが、たくさんあります。恋文を書こうとする気は、おこらない。
そんな私が恋文広場の広場長(審査委員長)になんか、なってもいいのでしょうか。おひきうけする前には、ためらいました。私でいいのか、と。
今は腹をくくっています。広場には、多くの便りがよせられるでしょう。なかには、わたしに反省をさせるものがありかもしれません。ああ、そうや。京都には、こんなええところがあったんや。この恋文には、盲点をつかれたな・・・・・・。そう私へ回心をせまる手紙との出会いに、期待をしています。