都をどりが本年は中止に !

耐震工事中の歌舞練場

祇園の芸舞妓が全員集まり踊る華やかな舞台は、海外でも評判を呼び、京都の春の風物詩となっています。筆者も子供の頃から都をどりが大好きで、お茶席のお皿が毎年増えていくのが楽しみでした。昨年は耐震工事のため南座での公演でした。

本年、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、中止の発表が3月6日にありました。とても残念です。公演中止は太平洋戦争末期から終戦直後(1944~1949年)の間以降では初めてとなります。なお、上七軒の北野をどり、宮川町の京おどりは開催が延期されます。
明治5年(1872)に始まった都をどりは、首都が東京へ移転して経済的な地盤沈下がおこった京都の活性化のため、京都博覧会の中で、お披露目されました。当初は祇園新橋の「松の屋」で開催され、翌年は建仁寺塔頭の旧清住院を改造した歌舞練場で開催されました。
明治17年の甲部歌舞練場の開催で、初めて島津源蔵がつくった電気灯が使われ、また、本来は座敷で舞う舞いを、舞台で披露した画期的なものでした。料亭に行けば舞妓さんが舞う畳がありますが、芸舞妓の群舞と言われる画期的なスタイルは評判を呼び、京舞井上流の家元・三世井上八千代さんと一力亭の九代目当主・杉浦治郎右衛門のお二人が考案しました。

海外から訪問する観光客は4月には京都の桜と「都をどり」を観賞することを楽しみにしています。京都人にとっては、一年に一度だけの楽しみだけに、祇園町の皆様の落胆が思い浮かびます。来年を楽しみにしておきます。
日本の舞は丹田から踊り、手の動き一つで気を包み込む踊りです。スペインのフラメンコはみぞおちから運動し感情に訴え爆発させる踊りで、マドリードで鑑賞した時は驚きました。文化や歴史の違いを踊りを通しても痛感したことを思い出します。
以上

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