過去と未来に思いを馳せた日(Ⅱ)

2021年7月27日、ユネスコの世界遺産委員会は「北海道・北東北の縄文遺跡群」について世界文化遺産の登録を決定しました。「北海道・北東北の縄文遺跡群」は函館など道内6か所と、北東北の3県にまたがる17の遺跡で構成されます。1万年以上にわたり平和で定住した縄文時代の人々の生活や、文化などの貴重な考古遺跡群です。

同日、アジア初の量子コンピューターが川崎市で稼働しました。アメリカ、ドイツに続いて世界で3例目です。スパコンで1万年かかる計算を3分20秒でこなすというコンピューターです。5月17日に銀行のSWIFT取引(国と国との交換取引)が終わり、遂に5月27日に量子コンピュータ稼働が実現されて、縄文遺跡の世界遺産登録が決定されて、過去と未来に想いを馳せた一日でした。

 この縄文時代は争いの歴史が無かったといわれる最も平和的な時代です。その時代から薬は存在していたようです。薬草茶として痛み、消毒、熱、咳止め、下痢や便秘等にドクダミやヨモギ等をお茶として愛飲していたようです。住居跡からは、くすりに使ったと思われるキハダ(ミカン科の落葉高木、生薬(しょうやく)名=黄柏(おうばく))等が発見されています。

『古事記(こじき)』にも薬にまつわることが記されています。たとえば、大国主命(おおくにぬしのみこと)と因幡(いなば)の白ウサギの話は有名です。大国主命は、因幡の国(鳥取県)で、皮をはがれて丸裸にされ泣いているウサギと出会います。

兎は、鮫をだまして海を渡ろうとしたところ、そのうそがばれて皮をはがれ、海水につけられて苦しんでいました。大国主命は、兎をあわれみ、「真水で体を洗ってから、蒲(がま)の花粉を体にまぶしなさい」と教えました。蒲は、水辺に多い多年草の植物ですが、その花粉は止血・鎮痛薬(ちんつうやく)でした。のちに大国主命は、他の神々の恨(うら)恨みを買い、焼けた岩によって大ヤケドを負わされてしまいます。その時に母親の神は、赤貝の粉を削(けず)り、はまぐりの汁と混ぜたものを大国主命の体に塗り、命を救いました。赤貝の粉とはまぐりの汁の混合物は、当時のヤケドのくすりだったのです。

 

平安時代、紫式部をはじめ多くの女性たちが熱心に参詣(さんけい)した奈良の長谷寺(はせでら)や、一夜にして巨大な曼荼羅図(まんだらず)を織り上げたという中将姫(ちゅうじょうひめ)伝説で知られる當麻寺(たいまでら)(当麻寺)のように、昔から女性の信仰が厚い寺では、さまざまな薬草を植え、女性用のくすりとして使っていたようです。

古くは薬と言っても自然の植物やみみず等を干してすり鉢で擦って服用していました。昭和の時代にも、田舎ではミミズ、マムシを軒下に吊り下げていたと聞いています。干して解熱、疲労回復の為の薬として使っていたようです。

以上

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